意匠登録出願の形態


意匠登録出願は、物品についての形態を対象としますから、その形態を明らかにする必要があり、そのために物品名を特定すると同時に形態を明らかにした図面、又は図面に代えて写真、ひな形、見本を提出します。なお出願は経済産業省令で定める物品の区分によって意匠ごとにする必要があります。
 図面は例えば正投影図法により作成された正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図、底面図をもって一組とし、あるいは等角投影図法により作成した図、斜投影図法により作成した図(キャビネット図)、カバリエ図としてもよく、場合によっては省略も可能です。また必要に応じて断面図、斜視図、拡大図、動く意匠の場合にはその動きの形態図、使用状態の参考図等も合わせて提出します。
 写真の場合には、図面に準じて撮影したものとし、ひな形、見本を提出する場合にはその大きさに制限があります。
 また場合によっては物品の内容例えば材質、大きさ、物品の利用分野、使用方法等を説明したり、形態に特徴がある場合にその特徴を説明した特徴説明書を同時に提出したりすることもあります。
 意匠登録出願は、その出願前に公知・公用、刊行物記載・電気通信回線を通じた公衆の利用可能となったもの、それらに類似するもの(新規性がないといいます)は登録を受けることができませんが、出願人自身がこうした新規性を喪失するようなことをしていても例外的に登録を受けることができる場合があります。この新規性喪失の例外適用を受ける出願とする場合には、その行為から6ヶ月以内にそれを証明して出願する必要があります。但し、その間に第三者が意匠登録出願をした場合にはその後願となって登録を受けることができなくなる場合もありますから、なるべく早めに手続をする必要があります。


1.通常意匠登録出願
2.部分意匠登録出願
3.関連意匠登録出願
4.組物意匠登録出願

5.秘密意匠登録出願

1.通常意匠登録出願
 独立販売される物品の形態について、その1物品毎の全体の形状で出願する場合です。物品としての形態が異なれば、夫々を独立にして出願します。
2.部分意匠登録出願
 同一物品において、物品としての用途は変わらず、物品全体の形態がある程度変更される可能性があって、物品の部分に特徴がある場合には、その特徴部分を明らかにして部分意匠として出願することができます。
 ただ意匠の保護対象は「物品の」形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合ですから、部分としての形態が明確でなければならず、また物品のどの位置にどの程度の大きさで配置されるかを特定する必要があります。
 この部分意匠の利点は、登録された部分意匠と同一又は類似する部分の意匠が実施された場合には、全体の形状が異なっていても権利侵害となることです。したがって「全体意匠」として登録される場合に比し、「部分意匠」としての登録の方が広くて強い権利が得られることになります。
 ただ、「部分意匠」と「全体意匠」とを出願する場合には、「部分意匠」出願を「全体意匠」出願よりも少なくとも先に出願するか、同日に出願する必要があり、逆になると自己の出願同士であっても「部分意匠」出願は拒絶されることになります。
 なお、この物品の部分の形状等には、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る)の用に供される画像であって、当該物品またはこれと一体として用いられる物品に表示されるものも含まれます。
3.関連意匠登録出願
 意匠は、同一又は類似物品の同一の形態のみならず類似の形態にまで権利が及びます。その類似する範囲内では、関連意匠として登録することができます。
 ただ、関連意匠登録出願は本意匠登録出願が登録された場合、その登録意匠公報の発行日前までに出願する必要があります。既に出願した意匠登録出願後にその出願された意匠に類似する意匠が更に別に創作された場合、類似範囲の明確化等のためにも関連意匠出願として出願しておくことが有効となる場合があります。但し、本意匠となる意匠登録出願の登録意匠公報の発行日前に出願する必要がありますので、ご注意下さい。
 関連意匠として登録された場合には、本意匠に類似しなくてもその関連意匠のみの類似範囲も類似するものとして独自に権利行使が可能です。
4.組物意匠登録出願  
 複数の物品群について全体的に統一感があるようなシステムデザインとした場合等に、それらを「組物の意匠」として登録できるものです。
 組物全体として統一性があると認められる場合には、@各構成物品全体としてのモチーフが同じような造形処理で表現されているか、あるいはA構成物品全体として一つのまとまった形状や模様等が表現されているかしているものが考えられます。例えば形状による統一、模様による統一あるいは色彩による統一等があります。
 登録要件としては、組物の意匠全体としての新規性、創作性が必要です(個々の物品の新規性、創作性は必要ありません)。また組物として同時に使用されること、二以上の物品であることであればよく、通商産業省令で定めた組物であることです。例えば下着セット、事務用具セット、台所セット、オーディオセット、ゴルフクラブセット、自動車用シートカバーセット、酒器セット、応接家具セットその他があります。
 ただ全体として一意匠となるために出願分割ができないこと(ただし、組物でないものであれば、物品毎の出願分割が可能です)、部分意匠は認められないこと、構成物品単体の先願があると後願として拒絶されること、権利範囲は組物全体として判断されること、組物意匠と構成物品単体意匠とは先願のものに優先的取り扱いによる権利調整がなされること等があります。

                                                      
5.秘密意匠登録出願
 意匠が登録されて意匠権が発生しても、意匠登録出願人の請求によって最長で3年間はその意匠内容が公報に掲載されず、秘密の状態におかれるものとしたのが秘密意匠です。
 秘密意匠登録出願とするには、出願時に図面その他の物件を密封し、「秘密意匠」と朱書きして手続をする必要があります。
 ただ、秘密期間中に権利行使をする場合には、その秘密の内容を明らかにした書面であって、特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告をした後でなければ、侵害の停止、予防の請求はできません。なお秘密期間中でも意匠権者の承諾、正当な理由ある第三者であれば、秘密意匠に係る出願書類の閲覧は可能です。秘密期間経過後では遅滞なく、公報に掲載され、それ以降は通常の登録意匠と同様に取り扱われます。